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耳が慣れると言うこと

 海外に住んでいたと言うと、「じゃあ、英語はペラペラですね。」と言われがちだが、日本人が多かったせいか自分の語学力が上がったとは思えない。ただ、確かに耳は慣れる。経験者から良く聞かされていたが、「耳が慣れる」とはこう言うことなんだと言う経験を数々したので、書き留めておく。

 

ヒャットゴ

 

 行って直ぐのこと。休日の昼飯など1人でどこに入ろうかちょっとビビってしまう。こんなとき何と言ってもマクドナルドが重宝する。安心だし。雑だが味は同じだった。初めてマックに入ったときの会話。

 

ビッグマックセットでも頼もう。セットはこちらではコンボと言うのか。このくらいはメニューを見ればわかる。

 

私:Big Mac combo, please.

員:ヒャットゴ?

私:(はぁ?)...

員:ヒャットゴ?

私:What's?

員:ヒャットゴ?

私:Could you tell me again more slowly?

 

15、6と思われるバイトの女の子が思いっきり低音で、

 

員:HERE, OR, TO, GO?

 

な~るほど。日本と同じだ。

しかし、バリバリの受験生にこの英訳問題を出したら答えられるだろうか?

 

「お持ち帰りですか?それとも店内で召し上がりですか?」

 

たった4単語。しかも全部中学で習う。先が思いやられた瞬間でした。勿論、夕食時にみんなで共有。

 

スーパーで

 

 また、スーパーで買い物をすれば、

 

員:ウレディ ォ デビ?

私:(はぁ?)...

 

Credit or Debit? クレジットカードかデビットカードかと言うこと。日本ではまだデビットカードはなじみがなく、当時は聞きなれない言葉だった。

 

員:ペイパー オア プラースティック?

 

これは聞き取れた。が、この状況で何を選択するんだ?

 

袋のことでした。スーパーの袋をついビニール袋と言ってしまうが、実は薄いプラスティックである。これは知っていたが、逆にスーパーで紙袋を貰ったことがない。

 

Pardon?

 

 住む家が見つかると、家の契約から始まって電気、ガス、水道、ゴミ、ケーブルTVなどなど英会話の機会がぐっと増える。難関なのが電話の応対。不動産屋に電話した時、おばあさんが出たのだが、直ぐ聞き取れないと観念した。ところがそのおばあさんが早口で、恐らくマニュアルを読んでいるのであろう、話が途切れない。タイミングを逃し、ほとんど話終わったころ「Pardon?」と言うと、電話の向こうから「Oh my got!」。申し訳なかった。ちなみに「Pardon?」は3年間で現地の人が使っているのを聞いたことがない。

 

ここでの共有事項は、電話では相手が話し出す前に、アポイントメントの時間を決めてしまえ。その場へ行って面と向かえば、身振り手振りで何とかなる。電話だけで用が済むようになるのに半年くらいかかったか。電話で用が済むようになると、逆にアメリカ社会はすごく便利。足を運ぶことはお役所以外まずない。日本の方が面倒くさい。

 

田んぼの田

 

 電話のことでもう1つ。日本人の名前は珍しいから間違えないようにスペルを確認するケースが多い。「田んぼの田」と同じ使い方で「"a" like apple」「"o" like orange」とか言う。仲間の1人が名前に「i」が付くのだが、

 

員:"i" like India?

 

India」のみが聞き取れた。

 

彼:No, I am not India. I am Japanese.

 

員:(笑い声)"i" like India?

 

今度はちゃんと聞き取れた。そうか、オペレータがインド人なんだ。

 

彼:Yes, Yes, I like India very much.

 

夕飯時に笑い転げたことは言うまでもないが、「"a" like apple」を知らないとこうなってしまうわな。危ない危ない。聞いといて良かった。

 

にんじん

 

 人は会話の中で、自分がこう言ったら相手はどう来るか、常に予測しながら会話している。簡単な実験をすると良くわかる。日本人同士で日本語で会話中に、何の脈絡もなく、全く関係のない単語を、活舌良くはっきりゆっくり「にんじん」とか言ってみる。ほぼ伝わらない。日本人の英語が伝わりにくいのは、外国人の予測を逸脱した答え方をしてしまうからだ。日本の学校で習う単語の数は、他国に比べてむしろ多い方だと思う。言い回しが予測の範囲内なら、発音が悪くても伝わるものだ。日本人の発音は赤ちゃん言葉に聞こえるらしい。インド人の発音より聞きやすいと言っていた。日本人は明らかに実践的な言い回しの学習が足りない。耳が慣れるとは「言い回し」を覚えること。先の例のように1度でも聞いていればどうってことないのである。

 

ムコドノ

 

 言い回しではなく純粋に「Native English」が聞き取れなかった例を1つ。半年くらい経っていたと思うが、下の娘は5つで行ったので、発音は完全に「Native」だった。お昼に何食べよっかって言う会話の中で、

 

娘:ムコドノ

私:えっ?

娘:ムコドノ

 

誰か必殺仕事人のビデオでも見せたのか?

 

ムコドノ、ムコドノ、、、何度も聞いているうちにだんだん分かってくる、、、ムコドノド、ムコドナード、マクドナルド。

 

一応、自分でもカタカナ英語ではなく、それっぽく「McDonald」と発音していた。中学、高校では発音を褒められたこともある。日本人の中にあってはいい方だと思っていたが、やはり「Native」はレベルが違う。我が娘ながら羨ましかった。

sandy-note

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