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Negative Questionの克服

条件反射

 

 日本人の苦手なものの一つに「Negative Question」なるものがある。否定疑問文の答えが日米で逆になるあれだ。

 

問:Don't you have a pen? あなたはペンを持ってないんですか?

答:No. I don't have a pen. はい、持ってません。

 

昔、授業で習ったから頭の中では理解している。しかし、何十年も当たり前のように使っていて、それが条件反射となってしまい、相槌を「はい、はい、はい」と打っているわけだから、「いぇーす、いぇーす、いぇ、、の、の、の、のー、のー、のー」となってしまう。途中で気付けばまだいいが、いぇーす、いぇーすで終わってしまうケースも散見された。案の定、仕事の上で誤解が生じることがあったので、日本人に質問するときは肯定文を使い、最後に「Yes or No?」と聞いてくれとお願いした。これなら間違えない。

 

問:You have a pen. Yes or no?

 

はいの英訳

 

 「はい」を辞書で引くと「yes」と出てくるが、そもそもそれが間違ってる。「はい」の意味は相手の質問を肯定する「貴方様の言う通り」と言うことであるから、最も近い英訳は「That's right」である。「いぇーす、いぇーす」の代りに「ザッツライ、ザッツライ」と言い付けていると、ほぼ間違いなく大丈夫だ。これに割と早く気付いたため案外うまく対処出来た。3年目にあることをキッカケに完璧に対応出来るようになるまで「That' right」が私にとって最も便利な言葉になった。

 

Exit

 

 3年目のある日、ボーっと車の運転をしていてふとあることに気が付いた。それは「Exit」と言う道路標識である。高速の出口にあるわけだが、ところが入口も「Exit」である。つまり彼らの感覚では高速への入口ではなく、一般道から高速への出口と言うわけだ。自分が運転している自分の車目線で見れば、全てが「Exit」になるわけだ。なるほど。入口とは正に相手から見た言葉。目から鱗だった。

そこで日本の社会には暗黙の主従関係があることに気付いた。高速道路から物事を見るから、入口と出口ができる。一般道より高速道路は偉いのである。何となく上にあるものの方が偉く見えてしまう。常に自分が運転している車から見れば入口はあり得ない。アメリカ個人主義の原点を見た思いがした。

 

Native Question」に話を戻すと、「Do you」と聞かれたか「Don't you」と聞かれたか、一生懸命聞き取ろうとしていたわけだが、そんなのどうでもいいのだ。どっちで聞かれようが、自分目線の答えは最初から決まっているから。このことに気付いたおかげで、ます一生懸命聞き取る必要がないのと、相手の質問が終わる前に自分の答えが分かっているから、時間的な余裕が生まれて、すんなり「Yes」と「No」が言えるようになった。

 

1車線の細い田舎道から4車線の広いハイウェイに乗るとき、「Exit」すなわち「出る」と言う感覚。この肌感覚を掴んでしまうと、ただ否定疑問に答えられるだけでなく、やつらのものの考え方、文化の違いを感じ取ることができる。勿論、仕事上でも大いに役に立ったし、アメリカ生活で最もためになった経験だったかも知れない。

sandy-note

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